主要 CDN（Akamai, CloudFront, Fastly）の特徴を比較

大規模 Web サービスには欠かせない「CDN」の主要サービスを比較します。
今回は有料サービスの中から次の3サービスをピックアップしました。

CDN の詳細については、Web サイト速度改善テクニック(3) にて解説しています。

Akamai は CDN の最大手

Akamai (アカマイ) は、最大手の CDN サービスです。
世界最大規模のコンテンツ配信ネットワークを有しており、シェアも1位です。

Akamai の特徴は、何といっても規模の大きさです。
世界130ヶ国以上にある24万台以上のサーバーで、30Tbps ものトラフィックを捌いています。

有名どころでは、Windows Update が Akamai 経由で配信されています。
世界中のコンピュータに更新データを配布する裏には、Akamai の支えがあると言えます。

配信ネットワークが幅広いため、ユーザの近くに Akamai サーバーも存在する可能性が高いです。
世界各国からアクセスのある大規模サイトには「Akamai」がオススメです。

CloudFront (クラウドフロント) は、AWS が提供する CDN です。
AWS の普及とともにシェアを伸ばしており、近年よく利用される CDN の一つです。

AWS の一機能として提供されるため、AWS 各サービスとのスムーズな連携が特徴です。
ALB (ロードバランサー) や、S3 をバックエンドとして指定できる他、Route 53 とも連動します。

ACM (Amazon Certificate Manager) と組み合わせると、SSL 証明書が無料で利用可能です。

システムの大部分が AWS 上で稼働している場合は、CloudFront の利用がオススメです。
CDN のために新たな契約をせずに済む点でも、管理上のメリットがあります。

Fastly (ファストリー) は、急成長中の人気 CDN です。
2011年に設立された比較的新しいサービスで、2015年に日本オフィスが開設されました。

キャッシュサーバーの「Varnish」と、Webサーバーの「H2O」をベースとしており、
高いカスタマイズ性・高速なレスポンス・高速なパージ（キャッシュクリア）が特徴です。

「インスタントパージ」と呼ばれる即時削除機能では、
CDN にキャッシュされたデータを瞬時に（約200ミリ秒で）クリアすることができます。

これまでの CDN はキャッシュクリアに数分～数十分を要するため、更新頻度の高いサイトやニュースメディアには不向きでした。Fastly であれば更新頻度の高いサイトにも適用可能です。

Varnish の機能を活用した高機能なキャッシュサーバーとして利用できるため、
「Varnish のマネージドサービス」というイメージに近い CDN サービスです。

CDN の主要サービス3つについて紹介しました。
システムの特徴や要件に合ったサービスを選択することが重要です。

世界規模の大きなサイトでは Akamai、AWS 上で構築されたシステムには CloudFront、
高速レスポンスや Varnish での細かなキャッシュ制御には Fastly がオススメです。